お弁当を温めようと電子レンジを回した瞬間、スマホの動画が止まる。チンと鳴って扉を開けたら、何事もなかったように動き出す。一人暮らしのワンルームだと、キッチンとくつろぐスペースが近いぶん、この「レンジ中だけWi-Fiが不安定」という現象に気づきやすいものです。

これは気のせいでも故障でもありません。電子レンジとWi-Fiが、たまたま同じ周波数の電波を使っているために起きる「電波干渉」が正体です。仕組みが分かればこわくないですし、対策もとても簡単です。この記事では、電子レンジでWi-Fiが切れる・遅くなる原因と、今すぐできる対策を優先順位つきで説明します。

対策の優先順位(今すぐできる順)

電子レンジでWi-Fiが切れるときの対策を上から順に試す手順のイラスト

先に結論からお伝えします。手間の小さい順に、次の4つを上から試してください。

順番 対策 手間
1 つなぐ電波を5GHzに切り替える すぐ(設定変更のみ)
2 ルーターの置き場所を変える すぐ〜数分
3 電波の通り道(金属・水槽・壁)を避ける 数分
4 ルーターの世代・混雑を見直す 検討が必要

多くの場合、1と2だけで解決します。ここから順番に、それぞれのやり方を説明します。

なぜ電子レンジでWi-Fiが切れるのか

電子レンジの電波がWi-Fiに干渉する仕組みのイラスト

電子レンジは、食品の中の水分を振動させて温めるために、2.45GHz付近の電波を使っています。一方でWi-Fiの2.4GHz帯も、ほとんど同じ周波数帯(免許のいらない「ISMバンド」と呼ばれる共有の電波帯)を使っています。つまり電子レンジとWi-Fiは、同じ道路を走っているような関係なのです。

電子レンジは食品を温めるために強力な電波を出します。庫内で完結するよう設計されていますが、動作中はどうしてもわずかに漏れます。その強い電波が、か弱いWi-Fiの2.4GHz電波とぶつかり合い、お互いに影響を与えます。だから「レンジを回している数十秒〜数分だけ」通信が乱れ、止めると元に戻るわけです。

いちばん確実な対策は「5GHzにつなぐ」

対策はいくつかありますが、効果がはっきりしているのは5GHzのWi-Fiに切り替えることです。5GHzは電子レンジの2.45GHzとは別の周波数帯なので、電子レンジによる干渉は受けにくく、安定して通信できます。ただし5GHzの一部のチャンネルは気象レーダーなどと共用しているため、レーダーの電波を検知すると自動でチャンネルが切り替わり、数分ほど通信が途切れることがあります。これは電子レンジとは別の原因です。

やり方は簡単で、スマホやパソコンのWi-Fi設定を開き、名前(SSID)の末尾に「5G」や「A」が付いたほうを選ぶだけです。同じルーターから2.4GHz用と5GHz用の2つの名前が出ていることが多いので、5GHzのほうにつなぎ直します。ただし5GHzは壁にやや弱く、遠い部屋だと届きにくいことがあります。2.4GHzと5GHzの向き不向きは2.4GHzと5GHzの違いにまとめているので参考にしてください。

ルーターの置き場所で直ることが多い

ルーターを電子レンジから離して置くイメージのイラスト

5GHzが使えないルーターだったり、電波が部屋の奥まで届かない場合は、置き場所を見直すだけで直ることがよくあります。避けたい置き方と、おすすめの置き方を並べました。

避けたい置き方 理由
電子レンジのすぐ横・上に床置き 干渉源にいちばん近く、影響を受けやすい
棚や収納の中に押し込む 電波が壁や扉にさえぎられて弱くなる
キッチンのカウンター上(レンジと同じ台) 数十センチしか離れず、干渉が抜けにくい
金属製の棚・水槽のそば 金属や水は電波を反射・吸収しやすい

まずできるのが、ルーターと電子レンジをできるだけ離して置くことです。ワンルームでも、レンジのすぐ横にルーターがある状態は避けましょう。数十センチ〜1メートル離すだけでも影響が変わります。理想は部屋の中心に近い、床から少し高さのある場所です。置き場所の工夫はルーターの置き場所で詳しく紹介しています。

それでも2.4GHzを使わざるを得ないなら、チャンネル(電波のレーン)を変えると干渉を避けやすくなります。無線LANルーターの設定画面からチャンネルの項目を選ぶだけで変更できます。変え方はWi-Fiのチャンネル変更を参考にしてください。

電子レンジ以外にも干渉するものがある

じつはWi-Fiの2.4GHzに干渉するのは電子レンジだけではありません。Bluetoothのイヤホンやスピーカー、コードレス電話、古い無線機器なども同じ帯域を使うことがあります。「レンジは使っていないのに切れる」という場合は、こうした機器が近くにないか見直してみましょう。

原因が家電なのか、そもそもの電波の弱さなのかを切り分けるには、まず今の速度を測っておくと判断しやすくなります。測り方は通信速度の測定方法を、切れる原因の全体像はWi-Fiがつながらない・遅い原因を確認してみてください。

それでも直らないときに考えること

上の対策を試しても電子レンジを使うたびに切れるなら、次の3つを疑ってみてください。

よくある質問

Q. 電子レンジを使うたびにネットが切れるのは故障ですか?

故障ではありません。電子レンジとWi-Fiの2.4GHzが近い周波数を使うために起きる干渉です。5GHzにつなぐか、ルーターをレンジから離すことで改善します。

Q. 5GHzに変えると電子レンジの影響はなくなりますか?

ほぼなくなります。5GHzは電子レンジの2.45GHzと離れた周波数なので、干渉を受けにくくなります。ただし壁に弱いので、遠い部屋では届きにくくなる点に注意してください。

Q. 電子レンジのそばにルーターを置くのは体に悪いですか?

Wi-Fiの通信が乱れるという意味での影響はありますが、家庭用電子レンジの漏れる電波は安全基準内に収まるよう作られています。心配なら距離を取れば通信も安定して一石二鳥です。

Q. 古い電子レンジのほうが干渉しやすいですか?

一概には言えませんが、扉のパッキンが劣化して電波が漏れやすくなっている古い機種では干渉が強く出ることがあります。買い替えや配置の見直しで改善することがあります。

運営者
運営者のひとことレンジを回すたびに動画が止まるのを「そういうものだ」と諦めている人を見かけますが、故障ではありません。5GHzに切り替えるだけで解決することが多いので、買い替える前にまず試してみてください。

まとめ

電子レンジでWi-Fiが切れるのは、両者が2.4GHz付近というほぼ同じ周波数を使っているために起きる電波干渉です。いちばんの対策は5GHzのWi-Fiにつなぐこと。それが難しければ、ルーターをレンジから離す・2.4GHzのチャンネルを変えるといった順で試せば、ほとんどの場合おさまります。故障を疑って買い替える前に、まずはこの記事の対策を試してみてください。

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