引っ越しや買い替えで、使わなくなった古いWi-Fiルーターが手元に残っている。燃えないゴミでいいのか、家電だから何か決まりがあるのか分からず、押し入れに眠らせたまま。そんな人は多いはずです。でもルーターには自宅のネット設定が残っているので、何も考えずに捨てるのは少し危険です。
結論から言うと、ルーターは小型家電として処分でき、捨てる前に必ず初期化して個人情報を消すのが正解です。この記事では、処分の選択肢と、捨てる前にやるべきことを順番に説明します。
捨てる前に必ず「初期化」する

いちばん大事なのがこれです。ルーターには、Wi-Fiのパスワードや接続設定などの情報が残っています。そのまま手放すと、悪用されるおそれがゼロではありません。
初期化はかんたんです。本体の背面や底面にある「RESET」ボタンを、ランプが点滅するまで数秒間押し続けるだけです。
- ルーターの電源を入れた状態にする
- 細い棒などで「RESET」ボタンを長押し(機種により数秒〜十数秒)
- ランプが点滅・再起動したら初期化完了
これで設定が工場出荷時に戻り、個人の情報が消えます。中古で売ったり譲ったりする場合も、必ずこの初期化をしてから渡してください。パスワードまわりの扱いはWi-Fiのパスワードの確認・変更も参考になります。
初期化しても消えない情報もある
初期化で消えるのは、Wi-Fiのパスワードや接続設定です。ただし機種によっては、本体裏面のシールに印字された製造番号やMACアドレス(機器ごとに割り振られた識別番号)までは消えません。譲る相手に大きな不利益はありませんが、気になる人はシールをはがしてから渡すと安心です。ファームウェア(本体を動かす基本ソフト)を最新版にしておくと、より安心して手放せます。更新方法はルーターのファームウェア更新にまとめています。
初期化できない・電源が入らない機器はどうするか
落雷や経年劣化で電源が入らなくなったルーターは、RESETボタンを押しても初期化できません。この場合は無理に分解せず、そのまま処分の手続きに進んで大丈夫です。ただし「電源が入らないから安全」とは言い切れません。電源まわりだけの故障なら、内部に設定情報が残っていることもあります。家電量販店の回収窓口やメーカーのサポート窓口に「電源が入らないが処分したい」と伝えて、対応方法を確認しておくと安心です。落雷が原因かどうかの見分け方は雷でルーターが故障したときの症状で確認できます。
まず「レンタル品ではないか」を確認

処分する前に、もう一つ大事な確認があります。そのルーターは自分で買ったものか、回線契約でレンタルしているものかです。
光回線やホームルーターの契約でレンタルした機器は、解約時に返却が必要です。捨ててしまうと、機器代金を請求されることがあります。本体のシールに「レンタル」「貸与品」と書かれていないか、契約書類を確認しましょう。解約時の返却は賃貸退去時のネット解約でも触れています。機器の役割の見分け方はONU・モデム・ルーターの違いをどうぞ。
間違って捨ててしまったときは
初期化する前や、レンタル品だと気づく前に、うっかり捨ててしまうこともあるかもしれません。そのときは慌てずに、契約している回線会社へすぐ連絡してください。多くの場合、状況を伝えれば代替品の返却や、機器損害金の支払いといった形で対応してもらえます。連絡が早いほど選べる対応の幅が広がるので、気づいた時点ですぐに問い合わせるのがコツです。返却を忘れて期限が過ぎてしまった場合の流れはレンタルWi-Fiの返却を忘れたときの対処、そもそもの解約手順は光回線の解約ガイドを参考にしてください。
処分方法の選択肢
自分の持ち物で初期化も済んだら、いよいよ処分です。ルーターは「小型家電リサイクル法」の対象で、いくつかの捨て方があります。
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| 小型家電回収ボックス | 家電量販店や公共施設に設置。無料で入れられることが多い |
| 自治体の回収 | 小型家電回収拠点や指定の分別で出す |
| 不燃ゴミ | 袋に収まるサイズなら地域のルールで出せる場合がある |
| リサイクルショップ・フリマ | 新しめの機種なら売れることも |
大手の家電量販店には回収ボックスが置かれていることが多く、買い物ついでに無料で入れられて手軽です。ただし地域や店舗でルールが違うので、自治体のゴミ分別ページや店頭表示を確認してから出しましょう。ここからは、それぞれの方法をもう少し具体的に見ていきます。
小型家電回収ボックス
家電量販店やスーパー、区役所などの入口付近に置かれている、投入口のあるボックスです。入る大きさのルーターなら、その場で無料で入れられることがほとんどです。持ち込む前に、初期化だけは済ませておきましょう。ボックスの設置場所は、家電量販店の公式サイトや、自治体のホームページで調べられます。
自治体の回収
多くの市区町村では、公民館や区役所、清掃事務所などに小型家電の回収拠点を設けています。分別区分(燃えないゴミ・小型家電・資源ごみのどれに当たるか)は自治体ごとに違うため、ここで「全国共通はこうです」と断定することはできません。お住まいの自治体のゴミ分別ページや、自治体が配布しているゴミ分別アプリで「ルーター」「無線LAN機器」と検索して確認してください。
家電量販店・メーカーの回収
新しいルーターを買うときに、下取りや無料引き取りを受け付けている店舗もあります。購入予定の店舗に、古いルーターの引き取りをしているか聞いてみましょう。メーカーによっては、公式サイトに回収窓口の案内があることもあります。
宅配便での回収
持ち込みが難しい人や、まとめて何台も処分したい人には、宅配便で送るだけで回収してもらえるサービスもあります。国から認定を受けた事業者(小型家電リサイクル法の認定事業者)が回収を行っている場合は、無料か低コストで利用できることが多いです。認定事業者の一覧は環境省の公式サイトで確認できます。
小型家電リサイクル法とは
ルーターなどの通信機器は、小型家電リサイクル法という制度の対象品目に含まれています。この法律は、小型の電子機器に含まれる金属などの資源を再利用するための仕組みで、実際にどう回収するかは自治体や事業者によって方法が違います。「制度の対象になっている」ことと、「お住まいの地域でどう出せばよいか」は別の話なので、最終的には必ず自治体の案内で確認してください。
方法ごとの手軽さを整理すると、次のようになります。あくまで一般的な傾向で、地域や店舗によって差があります。
| 方法 | 費用の目安 | 手間 |
|---|---|---|
| 小型家電回収ボックス | 無料のことが多い | 持ち込みが必要 |
| 自治体の回収 | 無料〜有料(地域差あり) | 拠点まで持ち込みか収集日に合わせる |
| 家電量販店・メーカーの下取り | 無料〜割引 | 買い替え時にまとめて済ませられる |
| 宅配便での回収 | 無料〜低コスト | 箱に入れて送るだけ |
急いでいない人は自治体の回収、買い替えのついでに済ませたい人は家電量販店、持ち込みが面倒な人は宅配便、というように自分の状況に合わせて選ぶとよいでしょう。
古い機器を手放すこのタイミングは、次の一台をどうするか決めるタイミングでもあります。新しいルーターを買い直すほかに、端末をレンタルで借りられる、工事のいらない回線に切り替えるという選び方もあります。この形なら端末は自分の持ち物ではないので、次に使わなくなったときは処分ではなく「返却」で終わり、ここまで見てきた分別や電池の扱いに悩む必要がなくなります。ただしレンタル品は解約時に必ず返却が必要で、捨ててしまうと機器代を請求されます。この点だけは、さきほどの話と同じように注意してください。
ただし、今の回線に不満がなく、ルーターだけを新しくしたい人にはこの選択肢は向きません。機器を自分の持ち物として手元に置いておきたい人にも向きません。オンライン対戦ゲームや大容量のアップロードが多い人も、光回線のほうが安定します。買い替える機種を選びたい人はWi-Fiルーターの選び方を、最新の規格まで必要かどうか迷っている人はWi-Fi 7ルーターは一人暮らしに必要かをあわせて読んでみてください。
リチウムイオン電池を内蔵したモバイルルーターは扱いが違う
ポケット型Wi-Fiやモバイルルーターのように、バッテリーを内蔵した機器は、コンセントにつなぐタイプのホームルーターと同じ捨て方をしないでください。内蔵されているリチウムイオン電池は、強い衝撃や高温が加わると発火するおそれがある部品です。消費者庁も、リチウムイオン電池を使った製品の発煙・発火事故に注意を呼びかけています。ごみ収集車の中で機器が押しつぶされる衝撃がきっかけで、発火事故が起きたケースも報告されています。
たとえるなら、リチウムイオン電池は「強く押しつぶすと火花が出るライター」のようなものです。普段は安全に使えていても、圧力や熱が一定以上加わると、発火のスイッチが入ってしまいます。だからこそ、燃えないゴミの袋に他のゴミと一緒に押し込むような捨て方は避ける必要があります。
モバイルルーターを処分するときは、次の点を確認してください。
- 燃えないゴミ・普通ごみに、コンセント式のルーターと同じ感覚で出さない
- 自治体に「小型充電式電池」「リチウムイオン電池内蔵製品」専用の回収区分がないか確認する
- 回収区分が分からないときは、購入した家電量販店や自治体の窓口に直接問い合わせる
- 廃棄の前に、できる範囲で電池残量を使い切っておくと発火のリスクを下げられる(環境省もこの対応を呼びかけています)
- 電池部分が膨らんでいる・変形しているときは、無理に触らず自治体や専門業者に相談する
この扱いは自治体や機器の状態によって細かく変わります。モバイルルーターを処分するときは、必ずお住まいの自治体の案内で確認してから出してください。制度の詳しい対象範囲を知りたい人は、環境省の公式サイト(リチウムイオン電池関係のページ)でも確認できます。
まだ使えるルーターを手放すときは
初期化した比較的新しいルーターは、リサイクルショップやフリマで売ることもできます。ただし買う側にはリスクもあるので、売る前に中古のWi-Fiルーターは大丈夫?を読んで、サポート状況などを正直に伝えると親切です。
フリマ・オークションで売る・譲るときの注意
個人間で売るときは、次の3つを守っておけば、あとからのトラブルはほとんど防げます。
- 必ず初期化してから発送する(前の持ち主の設定が残ったまま届くのは、買う側がいちばん困るケースです)
- 購入した時期と使用年数、メーカーのサポートが続いている機種かどうかを商品説明に書く(古い機種はセキュリティの更新が終わっていることがあります)
- 付属品の有無を正直に書く(ACアダプター・LANケーブル・説明書)
買う側がどんな点で困るのかを知っておくと、どこまで書けばよいかの判断がつきます。買う立場のリスクはフリマで中古ルーターを買うときの注意にまとめています。
なお、そもそも「まだ使えるか」を迷っている人は、寿命の目安を先に確認しましょう。Wi-Fiルーターの寿命と買い替えサイン、セキュリティ面は一人暮らしのWi-Fiセキュリティにまとめています。
いつ処分するのがいいか
冒頭で触れたように、古いルーターが手元に残る場面の多くは、引っ越しか買い替えのタイミングです。引っ越しの場合は、自治体によって粗大ゴミ・小型家電の収集日が限られていることがあるため、退去日から逆算して早めに出し方を確認しておくと慌てません。買い替えの場合は、新しいルーターが届いて動作確認が終わってから、古い機器の初期化と処分に進むと、万が一の設定トラブルにも対応しやすくなります。
処分前にやることチェックリスト
ここまでの内容を、処分する直前に見直せるようチェックリストにまとめました。
- 自分で買った機器か、レンタル品かを確認した
- レンタル品なら、捨てずに回線会社へ返却の手続きをした
- 自分の持ち物なら、RESETボタンで初期化を済ませた
- モバイルルーターなど電池内蔵の機器は、コンセント式と分けて考えた
- お住まいの自治体のゴミ分別ページで、出し方を確認した
- まだ使える機器なら、売る・譲る選択肢も検討した
このチェックリストを一通り確認できれば、処分の準備は完了です。
よくある質問
Q. ルーターは燃えないゴミで捨ててもいいですか? A. 地域によっては小型家電として不燃ゴミで出せますが、回収ボックスやリサイクル回収を推奨する自治体も多いです。まず自治体のルールを確認してください。
Q. 初期化しないで捨てるとどうなりますか? A. Wi-Fiのパスワードや設定が残ったままになり、悪用のリスクがあります。手間はかからないので、必ずリセットしてから処分しましょう。
Q. レンタルのルーターを間違えて捨てそうです。 A. 本体のシールや契約書類で「レンタル・貸与品」でないか確認してください。レンタル品は解約時に返却が必要で、捨てると機器代を請求されることがあります。
Q. 回収ボックスはどこにありますか? A. 大手の家電量販店や、市区町村の公共施設に設置されていることが多いです。自治体のホームページで回収拠点を調べられます。
Q. モバイルバッテリー内蔵のモバイルルーターも、普通の不燃ゴミで出していいですか? A. できるだけ避けてください。内蔵されたリチウムイオン電池は、圧力や熱が加わると発火するおそれがあります。多くの自治体で専用の回収区分が設けられているので、お住まいの自治体の案内を確認してから出しましょう。
Q. ルーターを処分するとき、箱や説明書も一緒に捨てていいですか? A. 問題ありません。箱や説明書は資源ごみ・古紙として、通常の紙のルールで処分できます。本体だけ、自治体の指定する小型家電の分別方法に従ってください。
Q. ACアダプター(電源コード)も一緒に処分していいですか? A. 多くの場合、ACアダプターも小型家電・電気コード類として一緒に処分できます。ただしこちらも分別区分は自治体ごとに違うため、ルーター本体と同じ扱いでよいか、念のため自治体の案内で確認しておくと安心です。

まとめ:初期化→レンタル確認→小型家電で処分
古いルーターの処分は、まず初期化して個人情報を消し、レンタル品でないか確認してから、小型家電として出す。この順番を守れば安心です。
家電量販店の回収ボックスなら無料で手軽。まだ使えるものは売る手もあります。押し入れに眠っているルーターがあれば、初期化だけ済ませて、この機会にすっきり手放してみてください。