フリマアプリを見ていたら、新品なら1万円するWi-Fiルーターが数千円で出ている。ホームルーターも中古なら安い。節約したい一人暮らしにとって、この価格差は魅力的です。でも、いざ買おうとすると「中古って大丈夫なの?」という不安がよぎる。その勘は正しくて、ルーターの中古には知っておくべき落とし穴があります。

結論から言うと、中古ルーターは「サポートが続いている機種」を「信頼できる店」で買えば選択肢になるが、安さだけで飛びつくと危険です。

この記事でわかることは4つです。中古のWi-Fiルーターは具体的に何が危険なのか、安さというメリットに対してデメリットはどれくらい重いのか、ホームルーターの中古は市販ルーターと何が違うのか。そして、自分が使わなくなったルーターを売る・処分するときの注意点です。買う前に確認したい5つの注意点も、途中でひととおり整理します。

中古のWi-Fiルーターは何が危険?起きうる「実害」で考える

「中古は危ない」と言われても、漠然としていて判断できません。ここでは危険性を、実際に自分の身に起きうる困りごとの形にして並べます。

危険性1:古い機種の弱点が直されないまま残る

いちばん現実的な危険がこれです。ルーターはインターネットと家の中をつなぐ玄関のような機械です。玄関なので、外からは一日中ノックされ続けています。

メーカーは弱点(脆弱性)が見つかるたびに、ファームウェア(ルーターの中身のプログラム)を配って穴をふさぎます。ところがサポートが終わった機種には、その修理がもう届きません。総務省などが参加するIoT機器のセキュリティ事業「NOTICE」でも、サポートが終了したルーターは買い替えを検討するよう案内されています。

穴が空いたままだと、こういうことが起こりえます。

総務省の事例集にも、ブロードバンドルーターから認証情報(IDとパスワード)が盗まれたケースが載っています。つまり、中古であること自体が悪いのではありません。中古で安く出回る機種ほど「古い」ことが危険だと考えてください。

危険性2:前の持ち主の設定が残っている

出品ページに「初期化済み」と書いてあっても、本当に初期化されたかどうかは開けてみるまで分かりません。設定が残っていると、こんな状態になります。

NOTICEでも、不審な設定が見つかったときは直ちに初期化し、ファームウェアを最新版にして、管理用パスワードを変更するよう案内されています。中古を買ったら、この作業を最初にやると決めておけば怖くありません。

危険性3:通信の暗号化が古い世代のまま

Wi-Fiの通信を守る暗号化には世代があります。総務省の案内では「WPA2」または「WPA3」を選ぶようにと書かれています。それより古いWEPやWPAしか使えない機種は、通信の中身をのぞかれるおそれがあります。これは設定でどうにかできる問題ではなく、機種の世代そのものの問題です。

危険性4:ホームルーターは「通信そのものが止まる」ことがある

これは市販のWi-Fiルーター(コンセントとLANケーブルでつなぐタイプ)にはない危険です。SIMカードを使うホームルーターやポケット型は、前の持ち主の事情で通信会社から利用を止められることがあります。買っても、そもそもネットにつながりません。くわしくは後半の「ホームルーターの中古」の章で説明します。

危険性5:技適マークのない機器をつかむ

日本国内でWi-Fi機器を使うには、電波法の技術基準に合っていることを示す「技適マーク」が必要です。総務省の電波利用ポータルでも、技適マークのない機器は国内で使用できないと明記されています。海外から入ってきた並行輸入品の中古には、このマークがないものが混じります。国内メーカーの正規流通品を選べばまず問題ありませんが、聞いたことのない海外ブランドの激安品には注意してください。

自分で危険度を判定する5つの質問

候補の中古ルーターについて、次の5つに答えてみてください。「いいえ」が1つでもあれば、その1台は見送ってかまいません。

確認すること 見る場所 「はい」の条件
メーカーのサポートが続いているか メーカー公式サイトで型番を検索 ファームウェアの配布が今も続いている
暗号化はWPA2かWPA3か メーカーの仕様ページ WPA2以上に対応している
発売から何年経った機種か メーカー公式サイト・型番 発売が新しいほど残り寿命が長い
技適マークがあるか 本体の裏や側面の表示 国内正規流通品である
返品・保証が受けられるか 出品者・店の説明 保証をうたう中古ショップである

この5つのうち、1つ目のサポート継続だけは絶対に外せません。ここが「いいえ」なら、いくら安くても買わないほうがいいです。ファームウェアの意味と更新のやり方はルーターのファームウェア更新のやり方にまとめています。

中古ルーターのメリット・デメリットを表で比べる

中古の魅力は、はっきり言って「安い」の一点です。ではその一点と引き換えに何を差し出すのか、正面から並べてみます。

比べるところ 中古ルーター 新品ルーター
買うときの値段 安いことが多い 中古より高い
メーカーのサポート 機種によっては終了済み 発売が新しいぶん長く残る
ファームウェア更新 止まっている機種がある 続いている
前の持ち主の設定 残っている可能性がある ない
メーカー保証 基本なし(店独自の保証のみ) あり(期間は機種・販売店による)
付属品(電源・ケーブル・説明書) 欠品のことがある そろっている
対応するWi-Fiの世代 古い規格のことがある 現行の規格
初期不良・故障のとき 自分で背負うことが多い 交換や修理を受けられる
これから使える残りの年数 短くなっている 最初から数えられる

こうして並べると、中古のデメリットは「安い」の1つでは埋めきれない数だと分かります。とくに効いてくるのは、次のような場面です。

逆に、サブの部屋用や短期間だけのつなぎなど、止まっても困らない用途なら中古も選択肢になります。選び方の基本はWi-Fiルーターの選び方を先に読んでおくと迷いません。

注意1:サポート終了の機種はセキュリティが危ない

古いルーターのセキュリティリスクを表すイラスト

いちばん大事なのがこれです。ルーターはメーカーが定期的に中身(ファームウェア)を更新して、新しい弱点をふさいでいます。ところがサポートが終了した古い機種は、弱点が見つかっても直されません

放置された弱点は、外から侵入される入り口になります。中古で安いものほど古い機種が多いので、まずメーカーサイトで「その型番がまだサポート対象か」を確認してください。古いルーターの危険性はWi-Fiルーターの寿命と買い替えサインでも解説しています。

注意2:暗号化の規格が古くないか

Wi-Fiの通信を守る暗号化には世代があります。安全なのは「WPA3」または「WPA2」。これより古い「WPA」や「WEP」しか対応していない機種は、パスワードを簡単に破られるおそれがあり、避けたほうがいいです。

自宅のセキュリティの基本は一人暮らしのWi-Fiセキュリティにまとめています。

注意3:ホームルーターの中古は「赤ロム」に注意

赤ロムのリスクを説明するイラスト

ホームルーターやポケット型など、SIMカードを使う中古機器には「赤ロム」という問題があります。これは前の持ち主が端末代を払い終える前に手放すなどした結果、通信会社側から利用を止められてしまった端末のこと。買ってもネットにつながりません。

赤ロムを避けるには、保証のある中古ショップで買う、赤ロム保証のある店を選ぶ、といった対策が有効です。個人間のフリマは安いぶん、このリスクを自分で背負うことになります。据え置き型の選び方はホームルーター3社の比較を参考にしてください。なお、ホームルーターの中古には赤ロム以外の落とし穴もあります。後半の「ホームルーターの中古は市販ルーターと事情が違う」でくわしく説明します。

なお、そもそも回線ごと工事なしで用意したい場合は、機器が契約とセットで届くので中古の赤ロムを心配する必要がありません。その選択肢は工事不要Wi-Fiのおすすめ比較で整理しています。

注意4:本当に初期化されているか分からない

中古の出品で「初期化済み」と書かれていても、鵜呑みにはできません。「再起動」と「初期化」を勘違いして出品している人も多く、前の持ち主の設定やパスワードが残っている可能性があります。

届いたら、まず自分でリセットボタンから初期化して、パスワードも新しく設定し直しましょう。パスワードの変更方法はWi-Fiのパスワードの確認・変更にまとめています。

注意5:安さと寿命を天秤にかける

中古で数千円浮いても、すぐに寿命が来て買い替えになれば意味がありません。ルーターは数年で規格が古くなる消耗品です。

じつは新品のエントリーモデルも3,000円台からあります。数百円〜千円ちがいなら、新品のほうが安心で長持ちということも多いです。買うか借りるか自体を迷う人はWi-Fiは購入とレンタルどっちが得かもどうぞ。

ただし、ワンルームでスマホ1台しか使わない人には、この価格帯は明らかに過剰です。必要な性能から逆算したい人はWi-Fiルーターの選び方を、そもそも今の規格が要るのか知りたい人はWi-Fi 6とは何かを先に読んでください。

ホームルーターの中古は市販ルーターと事情が違う

ここまでは主に、光回線などにつなぐ市販のWi-Fiルーターの話でした。ホームルーターの中古は、まったく別の注意点があります。「ホームルーター 中古 危険」と調べている人は、ここだけでも読んでいってください。

違い1:機器だけ買っても通信できない

市販のWi-Fiルーターは、家に光回線が来ていればどの機種でもつながります。機器と契約が切り離せるからです。

ところがホームルーターは違います。コンセントに挿すだけで使えるのは、その機器と通信会社の回線契約がセットになっているからです。中身にはSIMカードが入っていて、そこに契約が紐づいています。中古で機器だけを手に入れても、自分名義の契約を用意できなければ、ただの白い箱です。

しかも通信会社は自社で扱う機種を指定していることが多く、他社で売られていた中古の機器を自分の契約で使えるとは限りません。この点は機種と通信会社の組み合わせによって変わるので、必ず公式の対応機種一覧で確認してください。

違い2:前の持ち主の支払い状況で通信が止められる

これが「赤ロム」と呼ばれる問題の正体です。正式には「ネットワーク利用制限」といいます。

ソフトバンクの公式説明では、端末が盗難や詐欺などで不正に取得された場合、申込内容に虚偽があった場合、そして端末代金の支払いが行われていない、またはその恐れが高い場合などに、通信の利用が制限されると案内されています。分割払いが残ったまま手放された機器は、あとから止められる可能性があるということです。

見分ける方法はあります。各通信会社は「ネットワーク利用制限確認サイト」を公開していて、端末の製造番号(IMEI)15桁を入力すると、制限がかかっているかどうかを判定できます。買う前にIMEIを教えてもらい、その端末を売っていた通信会社のサイトで調べてください。IMEIを教えてくれない出品者からは買わない、これが一番かんたんな自衛です。

違い3:エリアと世代の相性がある

ホームルーターは電波を受け取る機械なので、機種によって使える周波数や5Gへの対応が変わります。古い機種を中古で買うと、今のエリアで期待した速度が出ないことがあります。対応状況は機種と通信会社ごとに違うため、こちらも公式の情報で確認するのが確実です。

中古ホームルーターは、検討していい?

あなたの状況 中古ホームルーターの向き不向き
今から新しく契約する 向かない。契約とセットの新品端末が届くので中古を買う必要がない
すでに契約があり、端末だけ壊れた 条件つきで検討可。契約中の通信会社の対応機種か、IMEIで制限がないかを必ず確認
契約なしで機器だけ手に入れた そのままでは使えない。まず契約が必要
海外で売られていた機種を買った やめたほうがよい。技適や対応周波数の問題が出やすい

まとめると、ホームルーターは中古で買う利点がほとんどありません。多くの場合、契約するとその通信会社の端末が新品で届くからです。ホームルーターそのものを比べたい人はホームルーター3社の比較、ポケット型との違いはホームルーターとポケット型の違いを参考にしてください。

売る・処分する側の注意点:ルーターは初期化してから手放す

ここまでは買う側の話でしたが、逆の立場になる日も来ます。買い替えたあと、古いルーターをそのまま売ると、自分の設定を他人に渡すことになります。「ルーター 売却 初期化」で調べている人は、次の順番でやってください。

中古のWi-Fiルーターを手放す前にリセットボタンで初期化する手順のイラスト

  1. 必要な情報を先に控える:プロバイダのIDやパスワード、固定した機器の設定など、新しいルーターで使うものをメモしておく
  2. 本体のリセットボタンで初期化する:細い穴に入っていることが多く、長押しする時間は機種によって違います。メーカーの説明書で確認してください
  3. 初期化できたか確かめる:管理画面に本体シールの初期パスワードで入れれば、戻っています
  4. SIMカードを抜く:ホームルーターやポケット型は必ず抜き取る。契約が紐づいた部品です
  5. 写真に注意する:出品用の写真に本体シールを写すと、SSIDと初期キーが読める状態になります。隠して撮りましょう

初期化のやり方そのものはルーターの再起動と初期化の違いで説明しています。売らずに捨てる場合や、そもそもどう手放すか迷っている場合は古いルーターの正しい処分方法を読んでください。新しいルーターへ設定を引き継ぐ手順はルーター買い替え時の設定引き継ぎにまとめています。

よくある質問

Q. 中古ルーターは絶対にやめたほうがいいですか? A. 絶対ではありません。サポートが続いている比較的新しい機種を、保証のある店で買うなら選択肢になります。危ないのは、古すぎる機種やフリマでの無保証品です。

Q. サポート対象かどうかはどこで分かりますか? A. メーカーの公式サイトで型番を検索すると、ファームウェア更新の対象機種か確認できます。更新が長く止まっている機種は避けましょう。

Q. 前の持ち主の情報が残っていたらどうすればいい? A. リセットボタンで初期化すれば消えます。届いたら必ず初期化し、パスワードも自分で設定し直してください。

Q. 数千円しか違わないなら新品と中古どちらがいい? A. その差なら新品がおすすめです。サポート期間が長く、赤ロムや初期化の心配もありません。中古のメリットは価格差が大きいときに限られます。

Q. 中古ルーターのデメリットを一言でいうと? A. 「安い」の代わりに、サポート・保証・残り寿命・前の持ち主の履歴という4つを引き受けることです。記事内の比較表で並べています。安さがそれに見合うかどうかで判断してください。

Q. 中古のホームルーターを買えば、通信費を安くできますか? A. 安くなりません。ホームルーターは回線契約とセットで、契約すれば端末が届くのが一般的です。機器だけ中古で買っても契約は別に必要で、赤ロムのリスクだけが増えます。

Q. 中古で買ったルーターが技適マーク付きか、どう確かめますか? A. 本体の裏や側面の表示を見てください。国内メーカーの正規流通品ならまず付いています。写真で確認できない海外ブランドの激安品は避けるのが無難です。

Q. 使わなくなったルーターを売るとき、何をすればいいですか? A. リセットボタンで初期化してから手放します。ホームルーターはSIMカードも抜いてください。出品写真に本体シールを写さないことも忘れずに。

運営者
運営者のひとこと数千円の価格差につられて古すぎる中古を選び、あとでサポート切れに気づく人を何人も見てきました。安さだけで決めず、サポートが続いている機種かを先に確認する。これだけは省かないでほしいです。

まとめ:中古は「サポート継続+信頼できる店」が条件

中古ルーターは節約になりますが、サポートが続く機種を、保証のある店で買うのが最低条件です。古すぎる機種、暗号化が古いもの、無保証のSIM機器は避けましょう。

そして、届いたら必ず自分で初期化する。数百円しか違わないなら、新品のエントリーモデルを選ぶほうが結局は安心で長持ちします。安さの裏にあるリスクを知ったうえで、賢く選んでください。

状況ごとの答えを整理すると、こうなります。

あなたの状況 中古の判断
メインの1台として長く使いたい 新品を選ぶ。サポート期間の差が効いてくる
在宅ワーク・ネット銀行をよく使う 新品を選ぶ。止まるリスクと穴のリスクが割に合わない
サブの部屋用・短期のつなぎ 中古も可。ただしサポート継続の機種に限る
ホームルーターを中古で考えている 基本は見送り。契約すれば新品端末が届く
自分が売る側 初期化してから手放す。SIMは抜く

迷ったら、まずメーカー公式サイトでその型番のサポート状況を調べるところから始めてください。そこが「終了」なら、その1台は候補から外す。それだけで大きな失敗は避けられます。通信費そのものを見直したい人は一人暮らしの通信費を節約する方法もどうぞ。

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