新しいWi-Fiルーターに買い替えたのに、動画が止まる感じは変わらない。せっかく出費したのに、この体感は何なのだろうと感じたことはありませんか。実はその原因、ルーター本体ではなく回線そのものにあることが少なくありません。この記事では、有線と無線の測り方を使って、原因がルーター側か回線側かを自分で見分ける手順を紹介します。

この記事の結論

結論:先に「有線でも遅いか」を確かめる

新しいルーターに替えても速くならないとき、次にどのルーターを試すかを考える前に、まず確かめてほしいことがあります。それが、LANケーブルでパソコンとルーターを直接つないだ「有線接続」でも遅いかどうかです。

有線でつないでも速度が変わらず遅いままなら、原因はルーターではなく、その手前にある回線側にある可能性が高くなります。ルーターはあくまで、部屋の中に電波を飛ばす役割です。届く水の量そのものが少なければ、蛇口をどれだけ新しくしても出る水は増えません。

ただし、確かめておきたい点があります。有線で測るときは、使っているLANケーブルと、ルーター側のLANポートの規格が古くないかもあわせて確認してください。古い規格のものは、それ自体が速度の上限になっていることがあり、回線が原因だと早合点してしまいます。ケーブルの規格の見分け方と、ルーター側のLANポートの上限については有線LAN接続とLANケーブルの選び方にまとめています。

逆に、有線でつなぐとちゃんと速いのに、Wi-Fiの無線接続だけ遅い場合は、原因はルーター本体や置き場所、つなぎ方の側にあります。この場合は、これから紹介する測り方やルーターの置き場所の見直しが効いてきます。まずはこの分岐だけを覚えておいてください。

しくみ・理由:ルーターを替えても速くならないのはなぜ起きるのか

「新しいルーターに替えたのに速くならない」というのは、一見すると不思議な話です。しかし、ルーターと回線の役割を分けて考えると、理由が見えてきます。

たとえるなら、水道管と蛇口の関係に近いものです。蛇口(ルーター)を新品のものに交換しても、その手前にある水道管(回線)が細いままなら、出てくる水の量そのものは増えません。ルーターの役割は、届いた通信を部屋の中に電波として配ることであって、そもそも届く通信の量を増やす部品ではないのです。

回線とは、自宅とインターネットの間をつなぐ通信網(プロバイダと契約している通信の経路)のことです。この回線側の速度が元々あまり出ていない状態では、どれだけ性能のよいルーターに買い替えても、体感は大きくは変わりません。

一方で、ルーターが原因になっているケースもあります。古いルーターの性能が今の通信量に見合っていない場合や、置き場所が悪く電波が届きにくい場合、あるいは接続する端末が多すぎて処理が追いついていない場合などです。こうしたケースでは、買い替えや置き場所の見直しが実際に効果を発揮します。

大切なのは、「ルーターを替えても速くならない」という結果だけを見て、次のルーターを探しに行かないことです。原因がどちらにあるかを先に見分けることで、無駄な出費や手間を減らせます。

有線と無線で速度を測り分けるイメージ

くらべてみよう:買い替えで直る症状/直らない症状

自分の状況がどちらに近いか、症状ごとに整理しました。表の1行だけを読んでも判断できるよう、条件もあわせて書いています。

症状 見分け方 買い替えで直るか 次にやること
自分専用の回線を契約していて、LANケーブルで有線接続しても速度が遅いまま(ケーブルとルーター側のLANポートの規格を確認済み・別の端末でも同じ・時間帯やサイトを変えても遅い) パソコンとルーターをLANケーブルで直接つないで測る 直らない(回線側) 回線そのものの見直しを検討する
有線でつなぐと速いのに、Wi-Fiの無線接続だけ遅い 同じ端末で有線と無線を切り替えて比較する 直る可能性が高い(ルーター側) ルーターの置き場所やつなぎ方を見直す
ルーターのすぐ近くでは速いが、普段いる部屋の場所だと遅い 端末を持って場所を変えながら測る 直る可能性が高い(置き場所側) 置き場所を変える、電波の届き方を見直す
夜など特定の時間帯だけ、有線でも無線でも遅くなる 同じ場所のまま時間帯を変えて測る 直らないことが多い(回線の混雑) 時間帯による混雑を疑う
契約が建物についてくる共用回線で、有線接続しても速度が遅いまま(規格を確認済み・別の端末でも同じ・時間帯やサイトを変えても遅い) 契約形態が自分専用の回線か共用の回線かを確認する 直らない(回線側の契約形態) 自分専用の回線への切り替えを検討する

表からわかるとおり、「有線でも遅いか」という条件が、直るか直らないかを分ける軸になっています。同じ「遅い」という症状でも、有線で測った結果によって次にやることがまったく変わる点に注意してください。

測り方:買い替え前後で比べるための3ステップ

原因を見分けるには、感覚だけで判断せず、実際に速度を測って比べることが近道です。買い替え前後で同じ手順で測れば、変化があったかどうかもはっきりします。具体的な速度の測り方は速度の測定方法にまとめているので、あわせて確認してください。

  1. 有線で測る:パソコンとルーターをLANケーブルで直接つなぎ、速度を測ります。ケーブルの選び方や有線接続のやり方は有線LAN接続とLANケーブルの選び方にまとめています。LANポートのないノートPCしか持っていない場合は、USB-LAN変換アダプタを使えば有線でつなげます。無線のまま測ると、この記事の要である有線と無線の比較ができなくなるので、ここは有線にすることが大切です。なお、速度を測るサイトは1つだけで判断せず、できれば2つか3つで測ってみてください。測るサイト側の混み具合によっても数字はぶれます。
  2. 無線で測る:ルーターのすぐ近くと、普段よく使う部屋の場所の2か所で、それぞれWi-Fiのまま測ります。近くでは速いのに普段の場所だと遅い場合、置き場所が原因になっている可能性が見えてきます。
  3. 時間帯を変えて測る:朝や昼など空いている時間帯と、夜など混みやすい時間帯の両方で測ります。このときも同じ2つか3つのサイトで測り、どのサイトでも夜だけ下がるかを見てください。1つのサイトだけで下がっているなら、測るサイト側が混んでいるだけかもしれません。どのサイトでも時間帯によって差が大きい場合は、回線の混雑が関係していることがあります。

この3ステップを買い替え前と買い替え後の両方で行い、同じ条件で数字を比べることで、買い替えの効果があったのかどうかを自分の目で確認できます。

買い替えで直る症状と直らない症状の切り分け図

あなたに合うのはどれ?

自分専用の回線を契約していて、有線でも遅く、時間帯を変えても改善しないなら、原因は部屋の機器ではなく回線そのものです。その場合の次の一手は、機器を買い足すことではなく、回線を替えることになります。工事を待たずに回線ごと替えられる選択肢のひとつが、コンセントに挿して使うホームルーターです。

ただし、これはすべての人に向いているわけではありません。有線接続では十分な速度が出ている人(原因はルーター側なので、回線ごと替えても意味がありません)、まだ有線での確認をしていない人、オンラインゲームや大容量のやり取りで低い遅延が必要な人、建物の共用のネット設備で普段は足りている人には向きません。

また、正直にお伝えすると、ホームルーターは電波を使う仕組みのため、光回線に比べて速度が出にくい場合があります。これは特定の1社だけの話ではなく、ホームルーターというカテゴリ全般に言える性質です。

今日はまだ契約を決められないという人は、光回線とホームルーターの比較で仕組みの違いを確認したり、工事不要Wi-Fiのおすすめでほかの選択肢と見比べたりしてから決めても遅くありません。

乗り換えを決める前のチェック

回線を替える方向で検討する場合も、申し込む前に次の4点を確認しておくと安心です。

  1. 対応エリア:自分の住んでいる場所がサービスの対応エリアに入っているか、公式サイトで確認する
  2. 実質料金:月々の料金だけでなく、初期費用や事務手数料もあわせて確認する
  3. 速度の出方:電波を使う回線は、建物の構造や周囲の環境によって速度の出方が変わることを理解しておく
  4. 解約条件:契約期間や解約時の条件はプランによって違うため、契約前に公式情報で確認する

これらは機種や会社によって条件が変わる部分なので、この記事では踏み込んだ数字は書きません。申し込み前に必ず公式サイトの最新情報を確認してください。

よくある質問

有線でも無線でも同じくらい遅いのですが、それでも回線側が原因ですか?

ケーブルとルーター側のLANポートの規格が古くないこと、別の端末でも同じこと、2つか3つのサイトで測っても同じこと、時間帯を変えても同じことの4つを確認できていれば、その可能性が高いです。有線でつないでも速度が変わらず遅いままという結果は、部屋の中の電波の問題ではなく、回線そのものの速度が出ていないことを示しています。ルーターを買い替えても改善しにくいケースです。

有線接続を試したいのですが、パソコンにLANポートがありません。どうすればいいですか?

最近のノートPCにはLANポートがない機種も増えています。その場合はUSB-LAN変換アダプタを使えば有線でつなげます。無線のまま測ってしまうと、有線と無線をくらべるというこの記事のいちばん大事な部分ができなくなるので、アダプタを用意するのがおすすめです。選び方は有線LAN接続とLANケーブルの選び方を参考にしてください。

IPv6という言葉を見かけましたが、これに変えれば速くなりますか?

一概には言えません。IPv6という通信方式に対応した接続方法に変えることで速度が改善する場合はありますが、これは回線とプロバイダの両方が対応して初めて効果が出る仕組みです。詳しくはIPv6・v6プラスとはで説明しています。

動画を見るのにどれくらいの速度が必要かわかりません。目安はありますか?

用途によって必要な速度の目安は変わります。具体的な目安は用途別に必要な速度にまとめているので、そちらを参考にしてください。

運営者
運営者のひとことルーターを買い替えても速くならないと、次はどの機種にしようかと考えてしまいがちです。でも、まず有線でつないで測ってみるだけで、原因がルーターなのか回線なのかがぐっとはっきりします。買い替え前に1回、買い替え後に1回、同じ条件で測って比べる。これだけで、次に何をすべきかが見えてきます。

まとめ:買い替えても速くならないときは、まず有線で確かめる

ルーターを買い替えても速くならないときは、次の機種を探す前に、有線接続でも遅いかどうかを確かめてください。有線でも遅いなら原因は回線側、有線なら速いのに無線だけ遅いならルーター側の可能性が高いというのが、この記事の結論です。建物についてくる共用回線を使っている場合は、部屋の機器ではどうにもならないため、表の最終行のとおり自分専用の回線に切り替えるかどうかの判断になります。

買い替え前後で、有線・無線・時間帯の3ステップで速度を測り、同じ条件で比べることが、遠回りに見えて実は近道です。回線側が原因だとわかった場合は、機器を買い足すのではなく、回線そのものを見直すという選択肢も視野に入れてみてください。

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